鯤(こん) の会について

俳句を自分で作るようになって30年近くなります。少しずつですが、小さな俳句を通して広々とした世界が見えるということが分かりかけてきました。そして、これが俳句の一番の魅力だと思うようになりました。
そこで、より多くの人にこの俳句の魅力を伝えたい、せっかく俳句を始めるなら、広々とした俳句の世界を実感してほしい、と考え、今般、この会を立ち上げました。

出張指導・出前授業という形にしたのは、特に、はじめて一歩を踏み出す方に、身近なところで、なるべく普段と変わらない楽な気持ちで、俳句を始めていただきたいからです。俳句は17音、とても短いものですから、必要以上に緊張したり、堅苦しいものと思って縮こまった気持ちで臨むと、小さな俳句がますます小さくなってしまいます。ぜひ、明るく楽しく、一歩を踏み出してください。その一歩の手助けをしたいと考えています。

鯤(こん)という字は、もともとはタラコやカズノコのような魚の微小な卵のことだそうです。しかし、昔の中国の荘子という人が、この字を、北の海に生息すると言い伝えられている巨大な魚の名前として使いました。たった一日(数時間)の小さな出会いですが、そこから将来、大きな一句が生まれることを願って、会の名前としました。