講師の俳句 毎月更新

海苔  2023年3月

海苔篊(のりひび)が見ゆ膝枕させてゐる

海苔篊に届いてゐたり松の影

ご所望は海苔餅二つ書斎より

けふの空焦げ始めたり山を焼く

末黒野(すぐろの)とは途方もなく大きな鳥 末黒野=野焼きの後、真っ黒になった野原

焼かれたる山の顔(かんばせ)町の上

残る鴨日中に出でて潜りけり  残る鴨=春が来ても北へ帰らぬ鴨

紙飛行機に日光と春の泥

枝をくゞり朧と並び歩きけり

落第の子の靴下を洗ひけり

戸籍課にこの生字引春の雪

家々やゴミを出さんと春の雪