講師の俳句 毎月更新

案山子(かかし) 2023年9月

やうやつと今日も終ひや雲の峰

半カップ水を差しけり夜の秋

(ひぐらし)や先客ゐたる資料室

ひぐらしのこゑ翳りけり光りけり

夕映の中迎火を始めたる

いちまいの大きな炎苧殻(おがら)焚く

苧殻の火盥(たらい)の中に生まれけり

盆の月ぐるりなんにもなかりけり  ぐるり=周囲

越後四句
暁の蜩は親不知かな

たゞ中のまつたゞ中の案山子かな

稲熟れて旅の疲は雲にあり

秋の日や雲より落ちて波の上