講師の俳句 毎月更新

鱸(すずき) 2025年11月

大鱸天より降つて来たりけり

ぬきんでて一本の松秋の山

アメリカが返してくれし花野かな

号砲や谺をかへす秋の空

蒼天に満ちたる猪(しし)の臭ひかな

この舟や月が昇らば月見舟

月下美人夜寒の息をしてゐたり

加筆また加筆に加筆夜の霜

彗星とめぐりあひたる鹿火屋かな 鹿火屋=火を焚いて田畑を鹿から守るための番小屋、今は廃れた。

音一つ足して和音の深む秋

美しき男見掛くる十夜かな 十夜=浄土宗の念仏法要。初冬の季語。