講師の俳句 毎月更新

秋の行方 2023年11月

セメントの匂と金木犀の香と

北鎌倉駅小さな空の高きかな

張りぼてはやつぱ張りぼて鐘の秋

秋惜む親につきあふ子どもかな


ことごとく色なき風や庭の石


天高き北鎌倉に日暮れをり


秋の暮今まさにいや今まさに


手が届きさうなる柿を柿の棹(さお)


梨を剥くここんところの役目かな


鷹渡る後を来るものなかりけり


暁は波音高し天高し


(ヒタキ)来るそれも二羽来る風雨かな


秋深き刃傷沙汰の行方かな


行く秋や紅深き蜘蛛の腹